
最近とあるクライアントの方と打ち合わせをしていて、いただいた質問がハッとさせられるものでした。その質問と回答の内容が、非常に本質的で重要だと思いましたので、シェアしたいと思います。
ハッとする質問
どんな質問だったかと言うと、、、
「なんで今パーソナライズ動画なの?」
正直一瞬戸惑いました。非常に広い質問だったので、どの視点から話すべきか、すぐにはわかりませんでした。少し考えてからお答えしましたが、そのときに回答した内容は、パーソナライズ動画を利用する側にとっても提供する側にとっても重要なものだと思いますので、記事として整理し共有したいと思います。(そのクライアント様には、非常に本質的な質問をいただき、パーソナライズ動画の存在意義について考えを整理するよいきっかけになりましたので、大変感謝しております)
なぜ今パーソナライズ動画なのか?
なぜ今パーソナライズ動画なのか?という質問は非常に幅が広いため、回答するにあたっては観点を整理する必要があります。観点としては、マクロな視点からミクロな視点まで様々なものがありますが、マクロなものから順番にご説明したいと思います。
<観点①日本の労働人口が減少しているから>
非常にマクロな視点ですが、日本の人口はすでにピークアウトし、減少を始めています。特に労働人口が減少し、高齢化が進むというのはご存知の通りです。ビジネスへの影響で考えると、サービスを提供する労働人口が減る一方で、サービスを受ける高齢者が増えるということですので、そのままではサービス提供レベルを維持することができないのは明白です。サービスレベルを維持するためには、一人当たりの生産性を上げるしかありません。
そこで、プロセスを効率化するツールや技術の必要性が高まります。AIやRPAが普及している背景としては、ディープラーニングなどの要素技術が発展していることが挙げられますが、そもそもそうした技術に対するニーズが増えているのは、生産性を上げる企業側のニーズが増しているから、と考えて間違いないでしょう。
パーソナライズ動画の存在意義も同じです。パーソナライズ動画は、名前を呼んでくれる面白コンテンツとしての性質ももちろんありますが、営業マンの代わりに、一人一人の顧客に語り掛け、商品を提案してくれるもの、という性質もあります。もっと言うと、営業マンの代わりになるもの、とも言えます。そうした性質から見れば、パーソナライズ動画も、AIやRPAと同じくビジネスプロセスを効率化させるものと言ってよいでしょう。
<観点②オンライン動画が普及してきたから>
パーソナライズ動画というサービスが徐々に広まりつつあるのは、パーソナライズしない物も含めて、企業がオンライン動画を活用し、ユーザーがオンライン動画を見ることが当たり前になってきたという、オンライン動画のトレンドもあるでしょう。

総務省のデータによると、オンライン動画共有・配信サービスを利用している人の割合は、全年代で数えて、2013年時点では半分くらい(52.8%)だったものが、2015年にはなんと7割弱(69.7%)に達しています。現在はもっと増えていることでしょう。
オンラインでユーザーに動画を見てらもうことが当たり前になる中で、企業が自社ウェブサイトで商品説明動画を活用したり、オンライン動画がデジタルマーケティングの手段となることが増えてきました。
<観点③動画と言えどもパーソナライズの波にはあらがえなかったから>
パーソナライズ、あるいは、One to oneというのは、デジタルマーケティングにおける一大キーワードです。その背景は情報過多です。少し古いデータですが、総務省によると、平成13年から平成21年の間にインターネット上の情報流通量は71.7倍に達しています。平成21年と言うと8年前なので、現在はそこからさらに増えていることでしょう。ユーザーは、ウェブやスマホ上で大量の情報にさらされており、興味のない情報には見向きもしません。レコメンドエンジン、マーケティングオートメーション、DMPなどの仕組みが普及しているのもこの流れでしょう。
そして、リッチな情報を伝えられる動画も、情報過多の波にはあらがえなかったようです。たとえ動画であっても、ユーザーは自分と関連のない情報には興味を示しません。
そこで、動画をダイナミックに制御する技術を活用し、動画が視聴者の名前を呼び掛け、視聴者の情報を表示し、そうした個人的な情報に関連したおすすめ情報を案内する、パーソナライズ動画が登場することになりました。弊社実績では、パーソナライズ動画の視聴完了率は、平均的に50~75%を記録しており、視聴者の興味を強く引けていることを示唆する結果となっています。
さて、ここまでは時代背景的な観点でしたが、いざパーソナライズ動画を活用しようとする企業にとっては、実務面のフィージビリティ(実行可能性)、すなわち、パーソナライズ動画で実現したいことが、技術的に実現できるのか?が重要です。以下の点が、(半分弊社の宣伝のようになってしまうのですが)今後日本でパーソナライズ動画が普及していくにあたっての重要なポイントではないかと思うのです。
<観点④業者に顧客情報を渡さなくても、パーソナライズ動画を生成できるようになったから>
これまでは、パーソナライズ動画の生成にあたっては、事前に顧客データをサーバに取り込んで動画を生成する方式(CSV連携)が主流でした。顧客情報の取り扱いの厳しい企業(特に金融機関など)は、業者のサーバに自社の顧客情報を渡すことが難しいことが多く、パーソナライズ動画を実施したくてもできなかった、あるいは、パーソナライズ動画を実施するとしても、深いレベルでの顧客情報は活用できなかった、というのがこれまでの状況です。
弊社は、パーソナライズ動画を生成するにあたってのデータ連携方式として、事前に顧客データをサーバに取り込んで動画を生成する方式(CSV連携)だけでなく、サーバに取り込まずに動画を生成できるAPI連携も可能です。企業様は、自社のお客様の大事な情報を、業者に渡すことなく、パーソナライズ動画をお客様に届けることが可能です。
まとめ
まとめるとこのようになります。

なぜ今パーソナライズ動画なのか?という問いに対する回答としては(上の図で言うと、最もマクロな下のものからになりますが)、
1、日本の労働人口が減少しているから
2、オンライン動画が普及してきたから
3、動画と言えどもパーソナライズの波にはあらがえなかったから
4、事前に業者に顧客情報を渡さなくても、パーソナライズ動画を生成できるようになったから
1、2、3という、パーソナライズ動画活用を後押しする下地は整ってきています。
さらにフィージビリティ面の上記4、すなわち、顧客情報を渡さずともパーソナライズ動画を生成できるデータ連携の仕組みがあれば、実際にパーソナライズ動画を活用する企業も今後徐々に増えていくのでは、と見ています。