livepass株式会社

海外保険会社のCRMにおける動画の活用

お客様とのコミュニケーション手段としての動画、というとどんなイメージをお持ちですか?

動画は宣伝ツールくらいに思っている方も多いのではないかと思います。以前の記事でも、日本ではまだそれほど動画が活用されている様子はない、といった内容を取り上げましたが、日本ではテレビの存在感が大きかったせいで、ネット動画もテレビCMの延長線上での活用くらいしかイメージされていないことも、動画があまり活用されていない理由かもしれません。

実は動画はCRMにも活用できます。そして動画は、CRMにおける人的負担を減らすものとも言えます。

今回の記事では、海外の保険会社が、動画をどのようにCRM領域において活用しているかの事例を取り上げます。海外の保険会社は、動画を単なる宣伝ツールとして捉えていません。目的としては顧客ロイヤリティ向上からLTV引き上げまで、様々な顧客ステージで様々な用途で活用していることがわかります。(下のほうに、動画のCRM活用の全体像を提示しておりますので、そちらもご覧ください)

それでは順番に見ていきましょう。

CRM動画の顧客ステージ別分類

<ウェルカムメッセージ>

こちらの動画は、イタリアの大手保険会社ゼネラリ保険の事例です。動画はパーソナライズされており、新規の保険契約者に向けて、契約者の名前を呼び掛けてウェルカムメッセージを伝えるとともに、今後の手続き・アプリの存在・担当者の連絡先などを案内する内容です。

もちろんこの動画で案内している内容は書面でも送られているでしょう。しかし、無味乾燥・事務的な書類で企業に対するロイヤリティが高まることはないでしょう。こうした動画を顧客に送ることで、「企業は自分のことを見てくれている」と思わせることができれば、新規契約者はロイヤルカスタマーに育つための第一歩目を踏み出すことになるでしょう。

<サービスの案内・操作方法の説明>

こちらも同じくメットライフの事例です。こちらはオンラインサービスの内容と、オンラインからの保険金請求手続きのやり方を説明するものです。

この動画には、オンラインサービスに気付いていないユーザーに対してその存在を知らせる、という目的もありそうです。その延長線上には、オンラインサービスに限らず、ユーザーが気づいていないかもしれない便利なサービスをお知らせするといった活用方法も浮かび上がってきます。

また、以前の記事と同じような形で、文字だけでの説明では限界があるような、オンラインサービスの操作方法やアプリの操作方法を、動画でわかりやすく説明し、カスタマーサポートに役立てることもできます。

<契約内容の確認(およびアップセル・クロスセル)>

こちらの動画は、AXA PPP healthcare(フランスの保険会社AXAの子会社で、英国において医療保険を提供)の事例です。こちらの動画はパーソナライズされており、契約者の名前を呼び掛けた上で、契約対象者・補償内容・保険金の額など、保険契約の内容を確認するためのものです。

目的としてはウェルカムメッセージに近いですが、契約後一定期間たった後に、内容を再度確認するといった使い方もできるでしょう。定期的にこうした内容を送っていれば、顧客満足度向上が図れるはずですし、契約者が契約内容を見直したいと考えたときに、また同じ保険会社と契約しようと思わせるリテンション(顧客維持)の効果も期待できそうです。

さらに、こうした個別顧客の具体的な契約内容に基づき、オススメ保険商品を個別顧客の具体的な条件と共に配信すれば、アップセルやクロスセルにも使うことができるでしょう。(例:現在XXX様はこの契約に加入されていますが、現在の契約にこの特約を追加すると、保険料はXXX円になります、など)

<リセル(既存契約の更新)>

こちらはサンプル動画です。こちらの動画もパーソナライズされており、個別の契約者に対して、契約者の名前を呼び掛け、既存保険契約の満期が近づいていること、それから既存の保険料、乗り換え後の保険料を具体的に提示することで、契約の乗り換えを促進する内容です。

物理的な契約更新という形でのリテンションを目的とするものです。同じ目的のために、ダイレクトメールやEメールなども送っているでしょうが、やはり動画で案内すると記憶にも残りやすく、高い効果が期待できます。

なお、この満期のある保険契約の更新訴求という利用方法は、パーソナライズ動画のユースケースとしては国内・海外両方で確立しているものです。自動車保険に限らず、損害保険・生命保険ともに、満期のある契約には活用できるでしょう。

動画のCRM活用 全体像

上記をまとめて全体像に落とし込むとこのようになります。

動画と一口に言っても様々です。CRMにおける活用という意味では、

  • ターゲット:どの顧客ステージにいるお客様に対して配信するか?
  • 目的:配信対象のお客様にどんな行動を取ってもらいたいのか?
  • メッセージ:その目的を達成するために、どんなメッセージを送るのか?

に応じて、どんな動画を配信するかは変わってくるため、動画施策を行う場合は、CRM全体の設計と動画の位置づけを明確にして行う必要があるでしょう。

なぜ動画なのか?

しかし、そもそもなぜ、海外の保険会社はCRMで動画を利用しているのでしょうか?動画あるいはパーソナライズされた動画の位置づけをよく考えると、その本当の意図が見えてきます。

下の図は、以前の記事でも取り上げた、パーソナライズされた動画のコミュニケーション手段としての位置づけを図示したものです。

CRMは既存顧客を相手にするものだけに、いかにパーソナライズしたコミュニケーションが取れるかが重要です。しかし、パーソナライズしたコミュニケーションを取るために営業マンやスタッフを投入すると、相応のコストと時間がかかります。逆に、メールやDMなどでは、コンテンツは文字と静止画に限られるため、効果に限界があります。

動画は、視覚と聴覚に訴え、動きと時間の経過があるため、人間の実体験に近く、記憶に残りやすいものです。その内容がパーソナライズされたものであれば、人によるコミュニケーションに近い効果が期待できます。動画でパーソナライズしたメッセージをユーザーに届けることで、人的負担を減らし、CRMを効率化することができます。それが海外の保険会社が動画を活用している本当の理由と考えてよいでしょう。

今回取り上げた動画はあくまで一例にすぎません。livepassではその他にも様々な事例をリサーチしております。また、今回はその効果については触れておりません。livepassでは実績を積む中でノウハウを蓄積しておりますので、効果についても今後取り上げていきたいと思います。ご興味のある方は、こちらからお気軽にお問合せください。